理事長所信

はじめに

平成23年3月11日14時46分、三陸沖に発生した東日本大震災は、大地震、巨大津波、原子力事故の重なる人類史上初めての大災害となりました。被災地域を中心とした甚大な直接的被害だけでなく間接的にも広く国内外に対し大きな影響を及ぼし、その壊滅的な状況に世界中の人々から絶望視されました。人として被災地の痛みに心を重ね、涙しつつ、一人の日本人として、JAYCEEとして自分たちに何ができ何をしなければならないか全会員が心を一つにし、真剣に考えたことと思います。そして、全国各地からのボランティアやJC、特に自らも被災した被災地JC会員の未来に向かって進もうとする姿に、日本の心は失われてはいないことを確信することができました。

 かつて明治天皇がこのような御歌を詠まれています。
『敷島(しきしま)の大和(やまと)心(こころ)の雄々しさ(おおしさ)は事(こと)ある時(とき)ぞ現れ(あらわれ)にけり』
 この御歌は、平生(へいぜい)には現れないが有事の際には決然と現れる日本人の雄々しい大和魂について詠ったものです。
 また、終戦の翌年、昭和天皇はこのような御歌を詠まれています。
『降り積もる(ふりつもる)深雪(みゆき)に耐えて(たえて)色(いろ)変えぬ(か)松(まつ)ぞ雄々しき(おおしき)人(ひと)もかくあれ』
 この御歌は、降り積もる雪に耐え季節によって色を変えない松こそ雄々しく、大和魂を本来持つ日本人もこうあるべき、と戦後の日本人を鼓舞する意味で詠まれました。
 元寇、明治維新、戦後復興に続く四度目の国難と言われる昨年の震災に対し、今上天皇から発せられたお言葉の中でも、国難に対峙する国民の姿を「雄々しさ」と表現されています。まさに世界から賞賛を受けるこの日本人の「雄々しさ」こそが、未曾有の国難に正面より対峙し、協力し、挑み、必ず立ち直ってきた日本人の底力であり誇りであり、私たちの矜持(きょうじ)であると言えます。日本人である私たちはこの「雄々しさ」を必ず持ち合わせています。そして、いざ目の前の課題に対し、持てる力を最大限に駆使することで、正面より対峙し、立ち向かうその姿勢、それこそが私たちが普段より学び発揮すべき「雄々しさ」であり、私たちJCの活動の原動力だと考えます。
 かつて、戦後復興をめざし立ち上がった私たちJCの諸先輩がそうであったように、私たちも今一度、日本人としての雄々しさをJCの熱き矜持へと昇華(しょうか)し、凛然と行動を起こしていかなければなりません。
 鯖江JC諸君、さぁ今こそ熱き矜持を胸に燃えて挑みましょう。

掴もう、律しよう、自らの成長のために

JCでは失敗してもいいから思いっきりやれ、たとえ失敗したとしても、そこから成長が生まれるから、と先輩に言われてきました。これは青年らしく大胆にやろうということだったのでしょう。青年らしく大胆に目的や手法を考える一方で、失敗しないように綿密にそこに至る計画を立てていく。その過程でぶつかる沢山の試練に対し、同世代の仲間と共に力強く行動力を発揮することを体験できるJCは、青年にとって最高の学び舎だと思います。そこで得られる知識や経験を知恵に変え、正しい判断力や力強い行動力を伴った総合的な「人間力」をこれからも培っていきましょう。
 しかし、この学び舎はただ在籍しているだけではなんの魅力もないでしょう。自らが貪欲に掴みに行かなければ何も得られません。自己を変革し、率先して行動することが大事で、誰かが与えてくれるのを待つことからそろそろ脱却しなければなりません。それが青年の学び舎たるJCであり、運動に参加してこそ自分を成長させることができるからです。
 そして、この組織が、かつての雄々しき日本人のような個の集団として活躍するために、会員一人ひとりがまずは自らを律し、相手を思いやることのできる人間にならなければならないと思います。すべての原因はすべて自己にあります。どんなに素晴らしい発言や行動を取ることができたとしても、自律できていなければ元の木阿弥です。まずは熱い矜持を持てるようになるために、自らを強く律していきましょう。そして、私たち自身の成長が必ず社会の成長に繋がることを信じて燃えて挑んでいきましょう。

熱き矜持の伝播で会員を増強しよう

会員拡大はJC活動そのものです。説得力を持って、市民と共に明るい豊かな社会を築くことを訴えるならば、まずは自らがJC運動に可能性や価値を感じ、情熱を持っていなければ、JCに新しい仲間を勧誘することなどできないでしょう。そして、熱くがむしゃらにJC活動に取り組めば取り組むほどに避けられないのが涙というものです。仲間のために泣けるほど、熱くがむしゃらにJC活動に邁進することで得られるJCに対する熱き矜持を会員一人ひとりが持たなければ、会員を拡大するためのスタート地点にも立てないでしょう。
 しかし、万一私たちが日頃から地域の担いを全うすることなく、JC活動に一辺倒であったならば未来に進もうとする車輪として足りません。仕事、家庭を含めた地域での責任を全うし、JC活動に熱い矜持を持つことで、両輪が揃い、初めて他人を魅了する説得力を持つことができます。会員一人ひとりがJCの魅力を伝える最高の会員拡大の営業マンたるように、それぞれの場所で熱き矜持を地域に伝播していきましょう。そうして熱き矜持に誘われることで出来た仲間と目標に向かって切磋琢磨することで育める友情は、何物にも代え難いものとなります。会員全員が一丸となって、未だ地域に眠る未来のJAYCEEを発掘していきましょう。
 また、私たちの組織力を最大限に発揮するためには、会員とその応援団である家族が心ひとつとなるよう友情を育むことももちろん大切です。鯖江JCを核とした大きな輪を更に大きく広げていきましょう。

次代(じだい)に適(かな)う子ども達の育成が未来を変える

次代を担う子ども達は地域の至宝(しほう)です。その宝たちに日常では得られない素晴らしい経験を与え、より逞しく(たくましく)、そして正しい道徳観を兼ね備えた子ども達となるようにという想いで始まった当LOMの青少年育成事業もいよいよ本年で10年目となります。これまでに参加した子ども達は延べ200名を超えるでしょう。更にこの事業を発展させていくために、まずはしっかりと検証をしていきましょう。
 いかに社会が変化しようと、自ら学び、考え、主体的に判断し、どんな困難にも屈しない力強さや、他人を思いやる心や感動する心などの豊かな人間性を兼ね備えた「生きる力」こそが、これからの時代において求められています。そんな生きる力に溢れた雄々しき子ども達を一人でも多くこのまちから育成していきましょう。次代に適う子ども達を育成することで、地域の、国家の、地球の未来を変えることができます。

市民協働のまちづくりの可能性に挑もう

JCは明るい豊かな社会の実現を目指して日々活動していますが、まずは、自分たちはその社会の一員であることを自覚し、市民として、自分たちのまちは自分たちが参加してつくるのだという自覚を持って行動することが大事だと考えます。そして私たちのまちに対する想いをより多くのまちの人に広げていくことで、着実に私たちの描く理想に近づくことができます。
 多くのまちの人の想いを重ねてきた“さばえ秋HANABI”事業も本年で5年目となります。この事業は、まちの人の想いを花火に込め、秋の夜空に打ち上げるメッセージ花火という手法を導入し、小さくとも他にはない温かい心のいっぱい詰まった花火大会として少しずつ市民に認知されてきました。継続は力という言葉にもある通り、継続することで私たちの得るものも大きく、地域への効果も相乗的に表れてきます。まちの人の想いを掘り起こし、このまちを愛する心を醸成していくために本年も発展させていきましょう。
 また、中長期的な視野を持ちながら、この“さばえ秋HANABI”事業を核とした市民協働のまちづくりの可能性を最大限に模索して挑戦していきましょう。このまちに集う人々の笑顔、このまちを想う心がこの事業の原動力であり、出来るだけ多くのまちの人にこの事業に参画して頂き、このまちを盛り上げることの喜びを共感してほしい。私たちの運動に多くのまちの人が参画することで、このまちに熱い矜持を持つ人々がきっと多く生まれてきます。

組織を見つめ、その進化に挑もう

2013年は当LOMにとって二つの意味で大変重要な年です。一つ目が鯖江JCの節目となる創立50周年を迎えること。二つ目が公益法人移行期限です。この二つのことは全く異なることのようですが、どちらも組織を維持し未来に向けて進化させていくという点で共通しています。この重要な年を目前にして、今一度、会員全員が自分たちの運動に熱い矜持を持ち、未来に向かって燃えて挑むぞという意識を共有することこそが2012年の責務であると考えます。
 そのためにまずは会員一人ひとりが立ち止まり、JCとJAYCEEについて自らを振り返る機会としていきたいと思います。鯖江JCが更なる進化をすることで地域社会の負託と信頼に応えられる組織となり、明るい豊かな社会の実現に向けて、会員一人ひとりが自らのJC活動に熱い矜持を持てるように、熱く燃えて挑んでいきましょう。

結びに

未来がどうなるかは誰にもわかりません。
未知だからこそ、描くことができます。
未知だからこそ、挑むことができます。
そして、目標に向かって少しでも前に進むよう、最大の努力を捧げていきます。
そのひたむきな努力から、熱き矜持は生まれます。
また、途中でぶつかるだろう困難に立ち向かうために、自らを強く律し磨いていきます。
JCは、この自己実現の道を最もわかりやすく体感させてくれます。
だからこそ、鯖江JC諸君
熱き矜持を胸に燃えて挑もう

 

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2012年度 理事長所信

 

2012年度 委員会基本方針

 

スケジュール

11/5(月)
11月度常任
11/14(水)

11月度理事会

(第1回新旧合同理事会)

11/22(木)
11月度例会
12/3(月)
12月度常任
12/7(金)

12月度理事会

(第2回新旧合同理事会)

12/15(土)
12月定時総会

 

リンク


 

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福井県鯖江市長泉寺町1丁目9-20
鯖江市民活動交流センター内
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TEL: 0778-51-1978
FAX: 0778-51-7469
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